「レジリエンス」の力で、新しい自分に! ~療育の現場から~その⑥中高生クラス編(2)
ふらっぷの療育プログラムのひとつに、「ふらちゃれ」と呼んでいる時間があります。「ふらちゃれ」は、ふらっぷちゃれんじの略でSEL(社会性と情動の学習/ルールの大切さや感情をコントロールするスキル)を学ぶ時間です。
幼児さんクラスでは、人の表情やしぐさ、声の調子などから、喜び・悲しみ・怒りなどの感情に気付くことから始めます。
小学生クラスでは、登場人物や設定場面から、自分や相手の気持ちを考え、状況理解を深めていく中で、望ましい行動や関係性を学びます。
お子さまの年齢などに合わせたクイズやゲームを使い、ルールの大切さや感情をコントロールするスキルを少しずつ身に着けていきます。
中高生クラスのふらちゃれ(SEL)では、内容もさらに深くなります。
多面的な角度から自他を認識し、社会の中で自分らしく生きていくために必要な力をつけていくことを学びます。
■「レジリエンス」って何? 私にもあるって本当?
自分らしく生きていくために必要な力の一つに「レジリエンス」というものがあります。
レジリエンスとは、日本語で “弾力” とか “回復力” という意味があり、しなやかな心の強さを表します。
レジリエンスとは何かを学ぶ際、しばしば取り上げられる話に、あるスケート選手のオリンピックでの体験談があります。彼女は、金メダル確実と言われる有名な選手でした。しかし、1日目の演技では失敗の連続。一転してメダル絶望という窮地に追い込まれました。ところが、一夜明けた2日目には、自己最高得点を叩き出しました。最高の演技で多くの人々に感動を与えたのです。あの奇跡がまさしく「レジリエンス」の力でした。
子どもたちは、この実際の出来事から、レジリエンスとは何か、このスケート選手がどんな気持ちで、またどんな方法でレジリエンス(しなやかな心)を強めてきたのか、を考えました。
さらに、ひとりひとりが自分の体験を振り返りながら、適応できる場面をイメージしました。レジリエンスは、もともと人間に備わっている力だと言われています。
自分の体験を具体的にイメージすることで、子どもたちは自分にも「レジリエンス」があるのだということに気づくことができたのです。
■レジリエンスが、失敗を成長のチャンスに!
思春期の子どもたちは、誰もが失敗や挫折、心の傷つきを一度は経験し、自分一人では乗り越えられない壁に直面することがあります。ふらっぷの中高生も例外ではありません。むしろ、発達の偏りからくるしんどさは、本人でなければ分からない、暗く長いトンネルのようだといわれます。
けれども、だからこそ、でしょうか。ふらっぷの子どもたちは、互いの存在を受け入れ合っているように見えます。それは、同じ心の痛みを持つ者同士であるが故に、相手を受容し、共に成長しようという思いが、彼らの中に育ってきているからだと思います。
そのような同じ境遇の仲間たちと共に学んだ「レジリエンス」。
“失敗してもいい。何度でもチャレンジできる”
たとえ折れそうになってもしなやかな心の強さがあれば、それが可能だとわかった時、古い自分から新しい自分に成長するチャンスが生まれるのです。
仲間と共に「ふらちゃれ(SEL)」を学ぶふらっぷは、子どもたちの未来の扉を開く「希望の空間」だと、私は思っています。
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担当:H
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