「気持ちの温度計」とBくんのおもいやり
新年度が始まり、はや1か月。ふらっぷでは、毎年4月に児童発達支援(幼児クラス)から放課後等デイサービス(小学生クラス)に進級するお子さんがいます。
曜日によっては、クラスのメンバーが大きく入れ替わることも。しばらくの間、子どもたちにもスタッフにも、ちょっと緊張感のある日々が続きます。
今回は、そんな中で起きたエピソードをひとつお話ししましょう。
■Aくんが「気持ちの切り替え」をできた理由
1年生のAくん、新しいクラスになり、気持ちが落ち着かないのかな?
運動の時間が終わったのに、トランポリンの中でひっくり返って泣いています。
すると、高学年のBくんが、そっとトランポリンに近寄りネット越しに声をかけてくれました。「ふらっぷが終わってからも、トランポリンで遊べるよ」
それでもなかなか、気持ちが切り替えられないAくん。
みんなと一緒に部屋に入り、次のプログラムに進むことができません。
Bくん、今度はAくんに『気持ちの温度計カード』(写真)をもって行き渡しました。
そして、Aくんの姿が見える場所に座って、自分の次の課題に取り組んでいます。
Aくん、気持ちの温度計を使って自分の気持ちに気づき、感情のコントロールができたのでしょうか。やがて、静かに部屋に入り、グループ活動に参加することができました。
自分で行動を変えることができたAくん、かっこいいです!
■Bくんのおもいやり、大成功だったよ!
あとでBくんに、Aくんに気持ちの温度計を渡した理由を尋ねると「温度計で自分の嫌な気持ちを表現したら、ちょっと楽になるかな、と思って…」と教えてくれました。
なるほど、ふらっぷではBくんもそうしているからね。
「それに、僕も前にCくんに同じようにやさしくしてもらって嬉しかったから…」
そうか! それを思い出して、自分もほかの人にやさしくすることができたんだね! それこそ、おもいやり(※)だよ!
実は、Bくん自身も、ときどき自分の気持ちが整理できずにひとりでうずくまってしまうこともがあるお子さんです。だからこそ、Aくんの苦しい気持ちを理解し、助けてあげたいと思ったのでしょう。
子ども同士のつながりや関りの中で、自然に "思いやり” の心が成長していることが、とても頼もしく思えたエピソードでした。
コロナ禍の影響で感染予防を意識し、グループ活動などを控えていたこの2年間でしたが、ふらっぷでは少しずつ以前の療育プログラムを取り戻しています。
これまでどおり、ひとりひとりとの丁寧な関わりを大切にしながら、今年度もしっかり子どもたちの心と社会性を育む療育に取り組みます。
すでに1カ月過ぎましたが、さて、今年はどんな子どもたちの姿が見られるのか、楽しみです!
※思いやり・・・ ふらっぷでは、「思いやり」「チャレンジ」「安全」の3つをめあてに活動しています。プログラムごとに自分の行動を振り返り、グッジョブカードにシールを貼っています。よい行動を促すための方法PBIS(積極的な行動への介入と支援)に基づいて行っています。
グッジョブカードは、気持ちの温度計とともに、ふらっぷ療育の大事なアイテムです。
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