“見て”“まねて”芽生えた「思いやり」の気持ち。成功体験が自己肯定感に!
ふらっぷでは、療育のおわりに、その日獲得したポイントをお菓子に交換します。
お菓子は、一人分ずつかごに入っていて、中身が少しずつ違っています。
かごの選び方は、その時の状況やメンバーによって違います。
■大泣きのAくんが笑顔に! そのわけは…
そのグループでは、じゃんけんでかごを選ぶ順番を決めることになっていました。
小学校低学年のAくんは、じゃんけんに負けてしまったため、自分の好きなかごを選ぶことができず、大泣き! そんなことが、2,3回続きました。Aくんにとっては、泣きながらふらっぷを後にする、という失敗体験が繰り返されていました。
ところがある日、じゃんけんに勝ったBくんが、今にも泣きそうなAくんを見て「先に選んでいいよ。」と順番を譲ってくれました。
Aくんは、大喜び! 「Bくん、ありがとう」と、お菓子を選んで持ち帰りました。笑顔でふらっぷを後にできたことは、Aくんにとってうれしい成功体験です。
■成功体験がAくんにもたらしたもの
そんな体験をしたAくん。その後は、お菓子選びの時の表情がすっかり変わりました。
たとえじゃんけんで負けたとしても泣いたりしません。今度は、自分が「先に選んでいいよ。」と譲ってあげられるようになったのです。
Aくんの変化に気づき、スタッフが「どうして順番を譲ってあげられるようになったの?」と聞くと、
「お友だちが喜ぶ顔がうれしいから。その顔を見ると、どのお菓子でもいいや、という気持ちになる。それに、自分も笑顔になれるから。」という答え。思いやりの行動を自ら進んでできるようになりました。
■「子どもが変わるために必要なこと」
先日、ふらっぷ高陽では、プログラム責任者で広島大学院教育学研究科教授の栗原慎二先生を招いて、オンラインの保護者研修会を開きました。テーマは「子どもが変わるために必要なこと」。
栗原先生によると、「人間は、まね(モデリング)で学習する」のだそうです。子どもは、近くにいる人の行動や姿勢をモデルとして吸収し成長します。
先ほどのAくんも近くにいるBくんの行動をまねて、順番を譲るという思いやりの行動を学んだのでしょう。さらに、Bくんが自分にしてくれてうれしかった、という体験は、Aくんの成長を後押しする力となったはず。Aくんの自己肯定感も高めることにもつながりました。
栗原先生のお話しを聞いて、Aくんのことを思い出し納得するとともに、子どもたちの成長を目の当たりにし、スタッフもよきモデルとして子どもたちに接したいとつくづく思わされました。
「聞いてよかった!」とご感想をいただいている保護者研修会については、次回、もう少しお話しする予定です。お楽しみに!
▼昨年開催した保護者研修会「WITHコロナ時代の子育て」は、こちらからご覧になれます。
担当:S
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