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  • ふらっぷ高陽

引っ込み思案のA君が主役に立候補!A君の行動を変えた支援方法とは? 《子どもの良い行動が増える方法》教えます!(1)

こんにちは。ふらっぷ高陽のプログラム責任者、栗原慎二です。

広島大学大学院教授、公益社団法人学校教育開発研究所(AISES)の代表理事も務めています。


引っ込み思案で学校も休みがち、人前で発表することが大の苦手な高校生のA君という男の子がいました。

そんな彼が、ある時、お楽しみ会でやる劇の主役に立候補したのです。セリフの多い役でしたが立派にやり抜きました。その後、学校では友達も増え、いろいろなことにチャレンジしている姿には以前のおどおどした印象はありません。

何がA君の行動をそこまで大きく変えたのでしょうか。


A君の行動を変えた支援方法、それはPBIS(Positive Behavioral Interventions and Supports:ポジティブな行動介入と支援)です。


7月6日のブログで、少しご紹介しましたが、今回より、ふらっぷではどのようにPBISを実践しているのかを数回に分けてご紹介します。


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【ふらっぷでのPBIS実践方法】part1

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具体的な行動から抽象的な概念を教える

「新しいことにチャレンジしましょう。」と言われても、どうしたら良いのかわりにくいですよね。特に発達障害の子どもは、見えないものを想像することが苦手ですから、《チャレンジ》という抽象的な概念から教えても、行動には結びつきにくいのです。そこでふらっぷでは、具体的な行動から抽象的な概念を教えています。

たとえば、縄跳びが苦手で自分から練習しなかった子が、ある日「今日縄跳び練習1分やります!」と言ってきたとします。そんなときはすかさず「すごい!自分から苦手なことをやろうとするのはチャレンジだよ。」と教えるのです。すると子どもは『これはチャレンジっていうんだ。』と具体的な行動を通して《チャレンジ》という抽象的な概念を理解するようになっていきます。

その場でほめると良い行動が増えていく

苦手なことをやってみることは《チャレンジ》と理解できても、その良い行動が一度きりで終わってしまっては意味がありません。良い行動が定着するためには、その場でほめることが大切です。

先ほどの例で言えば「すごい!自分から苦手なこどをやろうとするのはチャレンジだよ。」の後に「○○ちゃんはチャレンジできる子だね。とても感心したよ。」「チャレンジできる子は、心が強いってことだね。みんなにも教えたいな。」など、スタッフの気持ちを伝えると、子どもは『次もほめてもらえるように、また縄跳びをやってみよう。』と考え〈縄跳びを進んで練習する〉という良い行動が増えていきます。

良い行動が増える時、価値観が育つ

良い行動が増えていくと同時に、《チャレンジ》の行動をするとスタッフが喜んでくれることから、『チャレンジっていうのはとっても大事なこと』という〈価値観〉が育っていきます。

人は、自分の価値観に基づいた行動をするといわれています。良い行動を増やすためには、その基盤になる価値感をしっかりと教えることが大切であると考え、ふらっぷでは次の3つの価値観をあらゆる場面を通して教える工夫をしています。

ふらっぷで教えている価値観《チャレンジ・思いやり・安全》

ふらっぷでは、子ども達が自立するために、次の3つの価値観が大切であると考えています。

チャレンジ

初めてのことや少し難しいことでも、やってみようと足を踏み出すことです。たとえうまくいかなくても、チャレンジできることは価値のあることと考えています。


思いやり

相手を大切にすることです。相手の気持ちを考え行動できることは、好ましいコミュニケーションを築くために必要な価値のあることと考えています。

安全

自分や周囲を大切にすることです。自分の心や体を守るために、また周囲の安全を配慮しながら行動できることは、自分や周囲と上手に付き合いながら健全に生きていくために必要な価値のあることと考えています。

PBISの積み重ねがA君の行動を変えた

先ほどのA君、実は、一足飛びに主役に立候補できるようになったわけではありません。毎週、ふらっぷで、小さなチャレンジ(竹馬の練習をする、プリントを前回より1枚多くやる、友達にあいさつをするなど)を続け、『チャレンジするとほめられて気分か良い。』『今日もチャレンジできた。』という経験を積み重ねていったのです。そして半年経ったある日、「主役をやってみます!」と手を挙げるまでに成長した姿をみせてくれのです。驚いたスタッフが「なんでやってみようと思ったの?」と質問すると「チャレンジです!」と即答しました。ちょっと恥ずかしそうな笑顔に、スタッフは胸が熱くなったそうです。

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次回は、さらに具体的な方法をご紹介します。

いかがでしたか。今回はA君の例を通して、PBISが効果的な支援方法であることをご紹介しました。ご家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか。

次回の【ふらっぷでのPBIS実践方法part2】では、3つの価値観に基づく良い行動が増えるために使っている〖小道具〗を紹介しながら、さらに具体的に《良い行動が増える方法》をご紹介する予定です。お楽しみに!

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