しんどさを抱える子どもに、継続が力になる「コグトレ」を!
「コグトレ」という言葉、ご存じでしょうか?
9月3日付の中国新聞では、『「コグトレ」で自信付けて』と題し、生きづらさを抱える子どものトレーニング法として紹介されていました。記事では、学校の授業で困っている子どもに点つなぎや図形の模写などのトレーニングを繰り返し行い、認知機能を高め、その結果多様な効果が表れると記されています。
ふらっぷでは、開所当初から「コグトレ」をプログラムに取り入れています。目や耳を使い、頭を使い、さらには体全部を使い、お子さんたちは楽しみながらゲーム感覚で取り組んでいます。
■「コグトレ」って何?
コグトレは、認知機能トレーニングのことをいいます。学習面での土台作りだけでなく、身体面、社会面での認知の強化やスキルの向上を目指します。
▼詳しくは、「広島コグトレ研究会のホームページ」をご覧ください。
学校や社会のさまざまな場面で生きづらさを抱えているお子さんのしんどさを、少しでも軽減するために行うのがコグトレです。
■こんなことでお困りではありませんか?
「うちの子、板書ができなくて困っているみたい。どうしてかしら?」
「しょっちゅう転んだり頭をぶつけたりしてケガするの、なんで?」
「何度言っても順番が守れなくて、いつも友だちとトラブルに…どうしたらいいの?」
そんなお悩みの原因のひとつには、認知機能の弱さがあるかもしれません。
例えば、「板書ができない」その原因は…
・鉛筆の持ち方が下手だったり、指の力が弱かったりして、字を書くこと自体が苦手だから。
・見て覚えるのが苦手で一文字ずつ見て書き写すので時間がかかるから。
・黒板と自分の間にある物や友だちの動き、黒板の周囲にある掲示物などが気になって、黒板の文字に集中できないから。
などが考えられます。
原因のひとつに、お子さんの<不器用さ>や<みる力><集中力>の弱さなどがあるのかもしれません。
持ちやすい鉛筆や濃い鉛筆を使う、黒板に近い席にする、黒板の周囲の掲示物を少なくする、板書の時間を長くとるなど、お子さんが板書しやすいような環境を整える合理的配慮ももちろん必要です。
加えて、お子さまが苦手とする認知機能をコグトレによって強化することで、お子さまのしんどさをより軽減することができます。さらにコグトレを進める中で「できた!」という自信が得られれば、学習だけでなく、運動や生活面での意欲を引き出すことにもつながります。
ここでは、板書を例にお話ししましたが、そのほかのお子さまの困っていることも同様です。
■ふらっぷでは短時間でも「継続は力なり」
コグトレは楽しくできるので、ふらっぷの療育の中でも子どもたちに人気のプログラムのひとつです。時にアハハッと笑いながら、時にウ~ンと悩みながら、真剣に取り組んでいます。ふらっぷでコグトレを行うのは、それぞれ週に1回のほんの短い時間ですが、特に継続して通っているお子さんにはしっかりと成長が感じられます。
■「コグトレ」を効果的に行うためには?
コグトレにはいくつものメニューがありますが、何を中心に行えばよいのか、強化すべき認知機能が何なのかがわかれば、効率的に「今困っていること」への対応ができます。
「どうして、板書が苦手なの? 字が見えにくい? 気が散っちゃう?」などお子さま自身に具体的に聞くことで、できない原因や苦手な部分をある程度知ることができます。
しかし、本人が「これくらい大変なのは、みんなも当たり前」と思っていて、大変なのは自分だけだと気づいていない場合もあります。
そこで、実際にどんなことにどのくらいの大変さを抱えているのかを知るために、検査を行うことも役立ちます。
WISC-ⅣやKABCⅡといった知能検査では、お子さまの得意なことや苦手なことを数値化して細かく分析することができます。
板書が苦手な原因が、不器用さからくることなのか、みる力の弱さなのかが、具体的にわかるのです。
効果的に「コグトレ」を行うために役立つ検査、いったいどんなものなのでしょう?
次回は、「検査」について、お話しします。
▼コグトレ&学習支援「学習ルームぴかり」は、ふらっぷ高陽の姉妹施設です。
▼コグトレの開発者 宮口幸治先生の著書
50万部を突破したベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』
漫画でわかる「境界知能とグレーゾーンの子どもたち」
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